Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちよこ(に)

千世子(二)

宮本 百合子

Lesen Sie 千世子(二) (ちよこ(に)) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.249 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

電車の中では隣りの人の雑誌に心を引かれてすぐに家に行きついた。

入り口の石の上に見なれない下駄がそろえてあった、来た人が誰だか千世子には一寸想像がつかなかった、母親の居間で客の話し声が聞えた。

男にしては細い上っ皮のかすれた様な声をその人は持って居た。

千世子は自分の部屋に入ると懐のいろんなものを机の上にならべた時母親に呼ばれて千世子は居間に行った。

あけっぱなしの縁側のわきに座ると母親は自分の近い身内の者で千世子にもかなり近い人だと云った。

柔かな厚い髪が額にかかって思いのこもった眼と白い良くそろった歯をその人は持って居た。

肇と云う名だった。

顔が細くて男にしては喉仏の小さいのや、少しずつひかえ目に内気に物を話すのが千世子には快い気持を起させた。

初対面のほぐれにくい話の緒をもてあます様にして居る肇の態度がまだそうはすれない人の様に見せてじきに一つ事に熱中するらしく見せて居た。

又度々いらっしゃいな。

今度の時は御馳走してあげますよ。

などと母親に云われて肇が帰るとまだ肇の小さい時の事なんかを話してきかせた。

十二三になっても夜は一人で「はばかり」