Japanische Klassiker mit Furigana
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Lesen Sie 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.668 Zeichen · 164 Bildschirme
同君の画業は小諸時代に大に進み、白馬会の展覧会に出した「朝」の図なぞも懐古園附近の松林を描いたもののように覚えている。わたしは同君に頼んで画家の用いるような三脚を手に入れ、時にはそれを野外へ持ち出して、日に日に新しい自然から学ぶ心を養おうとしたこともある。浅間山麓の高原と、焼石と、砂と、烈風の中からこんなスケッチが生れた。
過ぎ去った日のことをすこしここに書きつけてみる。わたしたちの旧い「文学界」、あの同人の仕事もわたしが仙台から東京の方へ引き返す頃にはすでに終りを告げたが、五年ばかりも続いた仕事が今日になって反って意外な人々に認められ、若いロマンチックと呼ばれる声をすら聞きつける。今日からあの時代を振り返ってみたら、それも謂れのあることであろう。いかに言ってもわたしたちは踏み出したばかりで、経験にも乏しく、殊に自分なぞは当時を追想する度に冷汗の出るようなことばかり。それにしても、わたしたちの弱点は歴史精神に欠けていたことであった。もしその精神に欠くるところがなかったなら、自国にある古典の追求にも、西欧ルネッサンスの追求にも、あるいはもっと深く行き得たであろう。