Japanische Klassiker mit Furigana
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Lesen Sie 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.668 Zeichen · 164 Bildschirme
どうかすると先生の口から先生自身がリップ・ヴァン・ウィンクルであるかのような戯談を聞くこともある。でも先生の雄心は年と共に銷磨し尽すようなものでもない。客が訪ねて行くと、談論風発する。
水明楼へ来る度に、私は先生の好く整理した書斎を見るのを楽みにする。そればかりではない、千曲川の眺望はその楼上の欄に倚りながら恣に賞することが出来る。対岸に煙の見えるのは大久保村だ。その下に見える釣橋が戻り橋だ。川向から聞える朝々の鶏の鳴声、毎晩農村に点く灯の色、種々思いやられる。
楢の樹蔭
楢の樹蔭。
そこは鹿島神社の境内だ。学校が休みに成ってからも、私はよくその樹蔭を通る。
ある日、鉄道の踏切を越えて、また緑草の間の小径へ出た。楢の古木には、角の短い、目の愛らしい小牛が繋いであった。しばらく私が立って眺めていると、小牛は繋がれたままでぐるぐると廻るうちに、地を引くほどの長い綱を彼方此方の楢の幹へすっかり巻き付けて終った。そして、身動きすることも出来ないように成った。
向の草の中には、赤い馬と白い馬とが繋いであった。
その五
山の温泉
夕立ともつかず、時雨ともつかないような、夏から秋に移り変る時の短い雨が来た。