Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Lesen Sie 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.668 Zeichen · 164 Bildschirme
山番
番小屋の立っている処は尾の石と言って、黒斑山の直ぐ裾にあたる。
三峯神社とした盗難除の御札を貼付けた馬小屋や、萩なぞを刈って乾してある母屋の前に立って、日の映った土壁の色なぞを見た時は、私は余程人里から離れた気がした。
鋭い眼付きの赤犬が飛んで来た。しきりと私達を怪むように吠えた。この犬は番人に飼われて、種々な役に立つと見えた。
番小屋の主人が出て来て私達を迎えてくれた頃は、赤犬も頭を撫でさせるほどに成った。主人は鬚も剃らずに林の監督をやっているような人であった。細君は襷掛で、この山の中に出来た南瓜なぞを切りながら働いていた。
四人の子供も庭へ出て来た。一番年長のは最早十四五になる。狭い帯を〆《しめ》て藁草履なぞを穿いた、しかし髪の毛の黒い娘だ。年少の子供は私達の方を見て、何となくキマリの悪そうな羞を帯びた顔付をしていた。その側には、トサカの美しい、白い雄鶏が一羽と、灰色な雌鶏が三羽ばかりあそんでいたが、やがてこれも裏の林の中へ隠れて了った。
小屋は二つに分れて、一方の畳を敷いたところは座敷ではあるが、実際平素は寝室と言った方が当っているだろう。