Japanische Klassiker mit Furigana
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Lesen Sie 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.668 Zeichen · 164 Bildschirme
その六
秋の修学旅行
十月のはじめ、私は植物の教師T君と一緒に学生を引連れて、千曲川の上流を指して出掛けた。秋の日和で楽しい旅を続けることが出来た。この修学旅行には、八つが岳の裾から甲州へ下り、甲府へ出、それから諏訪へ廻って、そこで私達を待受けていた理学士、水彩画家B君、その他の同僚とも一緒に成って、和田の方から小諸へ戻って来た。この旅には殆んど一週間を費した。私達は蓼科、八つが岳の長い山脈について、あの周囲を大きく一廻りしたのだ。
その中でも、千曲川の上流から野辺山が原へかけては一度私が遊びに行ったことのあるところだ。その時は近所の仕立屋の亭主と一緒だった。この旅で、私は以前の記憶を新しくした。その話を君にしようと思う。
甲州街道
小諸から岩村田町へ出ると、あれから南に続く甲州街道は割合に平坦な、広々とした谷を貫いている。黄ばんだ、秋らしい南佐久の領分が私達の眼前に展けて来る。千曲川はこの田畠の多い谷間を流れている。
一体、犀川に合するまでの千曲川は、殆んど船の影を見ない。唯、流れるままに任せてある。この一事だけで、君はあの川の性質と光景とを想像することが出来よう。