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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちどり

千鳥

鈴木 三重吉

Lesen Sie 千鳥 (ちどり) von 鈴木 三重吉 (すずきみえきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.951 Zeichen · 41 Bildschirme

Aozora Bunko

小母さんのところに一と月もいたのはどうしたゆえであろうかと、いろんなことが一度に考えられて、物足りないような、いらだたしい心持がする。船から隣村の岸までは、目で見てもここからこの前の岸までよりかはるかに遠いけれど、まだ一里と乗りだしてはいない。自分が畑に永くいさえしなかったら、少くとも藤さんが出かけるところへなりと帰ってきたであろうに。それともなぜはじめから出て行くのを止さなかったろう。いっしょにいる間は別に何とも思わなかったけれど、こうなってみれば、自分は何かしらあなたをいじらしく思うとくらいは言っておきたかったような気がする。このままで永く別れてしまうのは何だか物足りない。自分がどんな気でいるかは藤さんは知ってはいまい。別れた後は元の知らぬ人と考えているように思っていてくれては張合がない。自分は何だかお前さんの事が案じられてならないのである。

このあたりの見渡しは、この時のみは何やら意味があるようであった。暮れて行く空や水や、ありやなしやの小島の影や、山や蜜柑畑や、森や家々や、目に見るものがことごとく、藤さんの白帆が私語く言葉を取り取りに自分に伝えているような気がする。