Japanische Klassiker mit Furigana
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ちどり
千鳥
鈴木 三重吉
Lesen Sie 千鳥 (ちどり) von 鈴木 三重吉 (すずきみえきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.951 Zeichen · 41 Bildschirme
――自分が藤さんなら、こんな時にはぜひとも何とか書き残しておく。行ってみれば実際何か机の上に残してあるかもしれないという気がする。
しかしやっぱりそんな手紙はなかった。
けれども、ふと机の抽斗を開けてみると、中から思わぬ物が出てきた。緋の紋羽二重に紅絹裏のついた、一尺八寸の襦袢の片袖が、八つに畳んで抽斗の奥に突っ込んであった。もとより始めは奇怪なことだと合点が行かなかった。別に証拠といってはないのだから、それが、藤さんがひそかに自分に残した形見であるとは容易に信じられるわけもない。しかし抽斗は今朝初やに掃除をさせて、行李から出した物を自分で納めたのである。袖はそれより後に誰かが入れたものだ。そしてこの袖は藤さんのに相違はない。小母さんや初やや、そんな二三十年前の若い女に今ごろこんな花やかな物があるはずがない。はたして藤さんが入れたのだとは断言できぬけれど、しかしほかのものがどう間違ったってこんな物を自分の抽斗へ入れこむわけがない。藤さんのしたことに極っている。そうすればただうっかり無意味で入れたのではない。心あって自分にくれたのである。そう推定したってむりとは言えまい。