Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

半七捕物帳

岡本 綺堂

Lesen Sie 半七捕物帳 (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.788 Zeichen · 15 Bildschirme

Aozora Bunko

半七は腹這いになって古畳の匂いをかいだ。

「松。おめえも嗅いでみろ。酒の匂いがするな」

松吉もおなじく嗅いでみて、うなずいた。

「酒の匂いはまだ新らしいようですね」

「むむ。おめえは鼻利きだ。酒の匂いは新らしい。第一、これは女中部屋だ。ここで酒をのむ者はあるめえ。このあいだの奴らがここに集まっていたに相違ねえ。まあ、引窓をあけてみろ」

松吉に引窓をあけさせて、その明かりで半七は部屋じゅうを見まわした。押入れのなかも調べた。障子をあけて台所へも出た。沓ぬぎの土間へも降りて見まわしているうちに、かれは何か小さいものを拾った。それを袂に入れて、半七はもとの座敷へ戻った。

「さあ、もう帰ろうか」

「もう引き揚げますかえ」と、松吉はなんだか物足らなそうに云った。

「いつまで化け物屋敷の番をしていてもしようがねえ。日が暮れると、また一つ目小僧が出るかも知れねえ」

半七は笑いながらここを出た。途中で喜右衛門にわかれて、半七と松吉は裏路づたいにしずかに歩いた。

「おい、松。これはなんだか知っているか」と、半七は袂から出してみせた。

「へえ。こんなものを……。こりゃあ按摩の笛じゃありませんかえ」