Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

みなみさんのこいびと

南さんの恋人

豊島 与志雄

Lesen Sie 南さんの恋人 (みなみさんのこいびと) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.630 Zeichen · 36 Bildschirme

Aozora Bunko

「ああ言ったよ。」

「そんなら、あたしを抱いて頂戴。さあ、しっかり抱っこして……。」

南さんの膝にとびのって、その胸に顔を埋めた。だが、そそっかしいにも程がある、あぶなく手紙を取落すところだった。おれはそれを手伝って、オーバーの内ポケットに納めてやった。

彼女は飛びのいた。

「もういいわ。あたし、南さんの心臓の音をきいちゃったから。すてきよ、ラブ・ユウ、ラブ・ユウ……といってるわ。きいてごらんなさい。」

そして力任せに一人の女給を南さんの方につきとばした。

「あぶない。……登美子さん、どうかしてんのね。」

「してるわよ。あたし嬉しいんですもの。なんだか……なんだか……へんなのよう……。」

歌いながら、向うへ行ってしまった。

座がちょっと白けたが、白けたまま静まって、それが却って酒の味を増したかのようだった。南さんはにこにこして、チーズや水菓子を女給達に奢ってやり、すっかり腰をおちつけてしまっていた。そして元気でもあった。ただ、いつまでもオーバーを着たままでいるところを見ると、やはりどこか身体のしんが冷えていたのだろう。

もうこれですんだ、という気持で、おれは退屈になって、室の中を散歩してやった。