Japanische Klassiker mit Furigana
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なんきんむしさつじんじけん
南京虫殺人事件
Lesen Sie 南京虫殺人事件 (なんきんむしさつじんじけん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.660 Zeichen · 26 Bildschirme
「ボストンバッグはどうした?」
「そんなもの持ってやしません」
最初にドンと地響がしたのは石塀の内側へボストンバッグを投げこんだ音だ。波川巡査はそれに気がついて、さてこの男を捕えるべきや、石塀の中へとびこんで逃げた男を追うべきや、と思わず高い石塀を見上げた。それが運のつき。
いきなり腕をうたれて火のでる痛みをうけたとたん、手のピストルも火を吐いて地上へ落ちる。とたんにミゾオチを一撃されてひッくり返った。と同時に、百合子も顔を一撃されて地上にすッとんだ。
百合子は痛さをこらえて逃げ去る足音の方を目で追った。男は石塀の反対側の小路へいきなり曲りこんで消えてしまった。
それから二分ほどの後、ピストルの音で駈けつけたパトロールの巡査が百合子と父を助け起してくれた。事情をきいたパトロールは、
「そうですか。それじゃア、この塀の中の男を探した方が早道ですね。そう云えば、この邸内にはドーベルマンとシェパードの凄いのがいますよ。あの犬が庭に放されている限り、その男は半殺しの目にあいますぜ。そんな物音はききませんでしたか」
ところがピストルが火を吐いて地上に落ちてからというもの、近所の犬がそろってウォーウォー吠えだした。