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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんぼくのとうかいどうよつやかいだん

南北の東海道四谷怪談

田中 貢太郎

Lesen Sie 南北の東海道四谷怪談 (なんぼくのとうかいどうよつやかいだん) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.555 Zeichen · 34 Bildschirme

Aozora Bunko

其の衣服はお岩の着ていたものであるが、お袖はお岩が死んだことを知らないので、そうと断定することができなかった。直助がそこへ帰って来た。

「これ、日が暮れかかったのに、干物を入れねえか」

直助が家へ入るのでお袖は追って入った。

「米屋さんが米を持って来たから、後までと軽う云っておいたよ」

「そうか」そして考えついて叺の莨入から彼の櫛を出して、「此の櫛なら、いくらか貸すだろう」

お袖はそれを見て驚いた。

「おや、その櫛は、そりゃ何処で拾ったのです」

「二三日前に、猿子橋の下で鰻掻にかかったが、てめえ、何か見覚でもあるのか」

「ある段か、これは姉さんが、母さんの形見だと云って、大事にしていた櫛。それに庄七さんに頼まれた彼の衣服と云い、どうしたことだろう」

「おい、これ、馬鹿な事を云うな、世間には幾何でも同じ物があらあな」

直助はそれから質屋へ往こうとした。お袖は其の手にすがった。

「衣服は違ってても、櫛はたしかに姉さんの櫛、どうぞ、そればっかりは」

「てめえも馬鹿律気な。だいち死んだ所天へ義理をたてて」

お袖は直助にせまられても与茂七の讐が見つかるまではと云って夫婦にならずにいるところであった。