Japanische Klassiker mit Furigana
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なんちしんじゅう
南地心中
泉 鏡花
Lesen Sie 南地心中 (なんちしんじゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.205 Zeichen · 79 Bildschirme
黒焼の註文の時だと、うじゃうじゃ我一に下へ潜って、瓶の口がぐっと透く。……放される客の時だと、ぬらぬら争って頭を上げて、瓶から煙が立つようですって、……もし、不気味ですねえ。」
初阪は背後ざまに仰向いて空を見た。時に、城の雲は、賑かな町に立つ埃よりも薄かった。
思懸けず、何の広告か、屋根一杯に大きな布袋の絵があって、下から見上げたものの、さながら唐子めくのに、思わず苦笑したが、
「昨日もその話を聞きながら、兵庫の港、淡路島、煙突の煙でない処は残らず屋根ばかりの、大阪を一目に見渡す、高津の宮の高台から……湯島の女坂に似た石の段壇を下りて、それから黒焼屋の前を通った時は、軒から真黒な氷柱が下ってるように見えて冷りとしたよ。一時に寒くなって――たださえ沸上り湧立ってる大阪が、あのまた境内に、おでん屋、てんぷら屋、煎豆屋、とかっかっぐらぐらと、煮立て、蒸立て、焼立てて、それが天火に曝されているんだからね――びっしょり汗になったのが、お庇ですっかり冷くなった。但し余り結構なお庇ではないのさ。
大阪へ来てから、お天気続きだし、夜は万燈の中に居る気持だし、何しろ暗いと思ったのは、町を歩行く時でも、寝る時でも、黒焼屋の前を通った時と、今しがた城の雲を見たばかりさ。