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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんちしんじゅう

南地心中

泉 鏡花

Lesen Sie 南地心中 (なんちしんじゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.205 Zeichen · 79 Bildschirme

Aozora Bunko

慾は可恐しい。悪くすると、ぶら提げてるのに打撞らないとも限りませんよ。」

「それ! だから云わない事じゃない。」

内端ながら二ツ三ツ杖を掉って、

「それでなくッてさえ、こう見渡した大阪の町は、通も路地も、どの家も、かッと陽気に明い中に、どこか一個所、陰気な暗い処が潜んで、礼儀作法も、由緒因縁も、先祖の位牌も、色も恋も罪も報も、三世相一冊と、今の蛇一疋ずつは、主になって隠れていそうな気がする処へ、蛇瓶の話を昨日聞いて、まざまざと爪立足で、黒焼屋の前を通ってからというものは、うっかりすると、新造も年増も、何か下掻の褄あたりに、一条心得ていそうでならない。

昨夜も、芝居で……」

男衆は思出したように、如才なく一ツ手を拍った。

「時に、どうしたと云うんですえ、お珊さんが、その旦那と?……」

「まあ、お聞き――隣合った私の桟敷に、髪を桃割に結って、緋の半襟で、黒繻子の襟を掛けた、黄の勝った八丈といった柄の着もの、紬か何か、絣の羽織をふっくりと着た。ふさふさの簪を前のめりに挿して、それは人柄な、目の涼しい、眉の優しい、口許の柔順な、まだ肩揚げをした、十六七の娘が、一人入っていたろう。