Japanische Klassiker mit Furigana
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なんちしんじゅう
南地心中
泉 鏡花
Lesen Sie 南地心中 (なんちしんじゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.205 Zeichen · 79 Bildschirme
所へ、さらさらどかどかです。荒いのと柔なのと、急ぐのと、入乱れた跫音を立てて、七八人。小袖幕で囲ったような婦の中から、赫と真赤な顔をして、痩せた酒顛童子という、三分刈りの頭で、頬骨の張った、目のぎょろりとした、なぜか額の暗い、殺気立った男が、詰襟の紺の洋服で、靴足袋を長く露した服筒を膝頭にたくし上げた、という妙な扮装で、その婦たち、鈍太郎殿の手車から転がり出したように、ぬっと発奮んで出て、どしんと、音を立てて躍込んだのが、隣の桟敷で……
唐突、横のめりに両足を投出すと、痛いほど、前の仕切にがんと支いた肱へ、頭を乗せて、自分で頸を掴んでも、そのまま仰向けにぐたりとなる、可いかね。
顔へ花火のように提灯の色がぶツかります。天井と舞台を等分に睨み着けて、(何じゃい!)と一つ怒鳴る、と思うと、かっと云う大酒の息を吐きながら、(こら、入らんか、)と喚いたんだ。
背後に、島田やら、銀杏返しやら、累って立った徒は、右の旦那よりか、その騒ぎだから、皆が見返る、見物の方へ気を兼ねたらしく、顔を見合わせていたっけが。
この一喝を啖うと、べたべたと、蹴出しも袖も崩れて坐った。