Japanische Klassiker mit Furigana
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なんちしんじゅう
南地心中
泉 鏡花
Lesen Sie 南地心中 (なんちしんじゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.205 Zeichen · 79 Bildschirme
」
男衆は頭を下げた。
「御道理で。」
「いや、まったく。心配しないで楽に居て、御覧々々と重ねて云うと、芝居で泣いたなりのしっとりした眉を、嬉しそうに莞爾して、向うを向いたが、ちょっと白い指で圧えながら、その花簪を抜いたはどうだい。染分の総だけも、目障りになるまいという、しおらしいんだね。
(酒だ、酒だ。疾くせい、のろま!)とぎっくり、と胸を張反らして、目を剥く。こいつが、どろんと濁って血走ってら。ぐしゃぐしゃ見上げ皺が揉上って筋だらけ。その癖、すぺりと髯のない、まだ三十くらい、若いんです。
(はいはい、たった今、直きに、)とひょこひょこと敷居に擦附ける、若衆は叩頭をしいしい、(御寮人様、行届きまへん処は、何分、)と、こう内証で云った。
その御寮人と云われた、……旦那の背後に、……髪はやっぱり銀杏返しだっけ……お召の半コオトを着たなりで控えたのが、」
「へい、成程、背後に居ました。」
「お珊の方かね、天満橋で見た先刻のだ。もっとも東の雛壇をずらりと通して、柳桜が、色と姿を競った中にも、ちょっとはあるまいと思う、容色は容色と見たけれども、歯痒いほど意気地のない、何て腑の抜けた、と今日より十段も見劣りがしたって訳は。