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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんちしんじゅう

南地心中

泉 鏡花

Lesen Sie 南地心中 (なんちしんじゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.205 Zeichen · 79 Bildschirme

Aozora Bunko

ちょうど池の辺には、この時、他に人影も見えなかった。……

橋の上に小児を連れた乳母が居たが、此方から連立って、二人が行掛った機会に、

「さあ、のの様の方へ行こか。」と云って、手を引いて、宮の方へ徐々帰った。その状が、人間界へ立帰るごとくに見えた。

池は小さくて、武蔵野の埴生の小屋が今あらば、その潦ばかりだけれども、深翠に萌黄を累ねた、水の古さに藻が暗く、取廻わした石垣も、草は枯れつつ苔滑。牡丹を彫らぬ欄干も、巌を削った趣がある。あまつさえ、水底に主が棲む……その逸するのを封ずるために、雲に結えて鉄の網を張り詰めたように、百千の細な影が、漣立って、ふらふらと数知れず、薄黒く池の中に浮いたのは、亀の池の名に負える、水に充満た亀なのであった。

枯蓮もばらばらと、折れた茎に、トただ一つ留ったのは、硫黄ヶ島の赤蜻蛉。

鯡鯉の背は飜々と、お珊の裳の影に靡く。

居たのは、つい、橋の其方であった。

半襟は、黒に、蘆の穂が幽に白い、紺地によりがらみの細い格子、お召縮緬の一枚小袖、ついわざとらしいまで、不断着で出たらしい。コオトも着ない、羽織の色が、派手に、渋く、そして際立って、ぱっと目についた。