Japanische Klassiker mit Furigana
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なんとうたん
南島譚
Lesen Sie 南島譚 (なんとうたん) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.401 Zeichen · 15 Bildschirme
名をリメイといって非常な美人である。
ギラ・コシサンが初めて此の女をア・バイの裏の炊事場で見た時、彼は茫然として暫く佇立した。その女の黒檀彫の古い神像のような美に打たれたばかりではない。何か運命的な予感が――此の女によってのみ自分は現在の女房の圧制から免れられるかも知れぬという・哀れにも甚だ打算的な予感がしたのである。彼の此の予感は、彼を見返した女の熱情的な凝視(リメイは大変長い睫と大きな黒い目とをもっていた)によって更に裏付けられた。其の日以来、ギラ・コシサンとリメイとは恋仲になったのである。
モゴルの女は一人で男子組合の会員の凡てに接する場合もあれば、或る特別の少数、或いは一人だけに限る場合もある。それは女の自由に任せられるのであって、組合の方で強制する訳には行かない。リメイは既婚者ギラ・コシサン一人だけを選んだ。男自慢の青年共の流眄も口説も、その他の微妙な挑発的手段も、彼女の心を惹くことが出来ない。
ギラ・コシサンにとって、今や世界は一変した。女房の暗雲のような重圧にも拘わらず、外には依然陽が輝き青空には白雲が美しく流れ樹々には小鳥が囀っていることを、彼は十年この方始めて発見したように思った。