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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんとうたん

南島譚

中島 敦

Lesen Sie 南島譚 (なんとうたん) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.434 Zeichen · 11 Bildschirme

Aozora Bunko

哀れな下男は、しかし、大変賢い人間だったので、己が運命を格別辛いとは思わなかった。己の主人が如何に苛刻であっても、尚、自分に、視ることや聴くことや呼吸すること迄禁じないから有難いと思っていた。自分に課せられる仕事が如何に多くとも、なお婦人の神聖な天職たる芋田耕作だけは除外されていることを有難く思おうと考えた。鱶のいる海に跳び込んで足の指三本を失ったことは不幸のようだが、それでも脚全体を喰切られなかったことを感謝しよう。空咳の出る疲れ病に罹ったことも、疲れ病と同時に男の病に迄罹る人間もあることを思えば、少くとも一つの病だけは免れたことになる。自分の頭髪が乾いた海藻の様に縮れていないことは明らかに容貌上の致命的欠陥には違いないが、荒れ果てた赭土丘の様に全然頭髪の無い人間だって俺は知っている。自分の鼻が踏みつけられたバナナ畑の蛙のように潰れていないことも甚だ恥ずかしいことは確かだが、しかし、全然鼻のなくなった腐れ病の男も隣の島には二人もいるのだ。

だが、足るを知ること斯くの如き男でも、やはり、病が酷いよりも軽い方がいいし、真昼の太陽の直射の下でこき使われるよりも木蔭で午睡をした方が快い。