Japanische Klassiker mit Furigana
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なんきょくき
南極記
久生 十蘭
Lesen Sie 南極記 (なんきょくき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.753 Zeichen · 35 Bildschirme
を別にすれば、ただ荒涼としているばかりで、いかにも無味な眺めだった。しばらくの間、風房に額をつけて見おろしていたが、知りたいとねがうような珍奇なものは、なにひとつ眼に入らなかった。
一時間ほどすると、経緯儀に眼をあてていたジェームスが、こちらへ振返って、片手をあげてみせた。間もなく南極の頂点に着くという合図だったが、バード大佐は、なぜか愉しくなかった。
もう何分かすると、アムンゼンやスコットの隊が、十五年前に、苦しみ、喘ぎ、息も絶え絶えになって辿りついた「約束の土地」を、悠々と空の上から見おろすことができるのだが、しかし、それがどうしたというのか。たとえ九十度圏のまわりを、百辺、旋回してみたところが、要するに極地の風景を瞥見したというだけのことにすぎない。アムンゼンが九十九日かかったところを、十時間で往復したということに、どんな意味があるというのだろう。南極大陸を一周したとでもいうなら、まだしものことだが、頂点の上に到着しても、その向うにまだ涯もない未知の広大な地表が残っている。人間は間もなく基地に飛び帰り、あとに地平線が残る……極地の苛酷な自然にたちむかって、吹雪や寒気とやりあい、星と星の間に自分らの道をたずねながら、氷裂を迂回するか、突貫するか、自由な判断のもとに決定し、極地の大氷原を自在に料理し去っ