Japanische Klassiker mit Furigana
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なんばんひわもりうこんまる
南蛮秘話森右近丸
国枝 史郎
Lesen Sie 南蛮秘話森右近丸 (なんばんひわもりうこんまる) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.869 Zeichen · 112 Bildschirme
額は狭く富士形である。その顔色に至っては白さを通り越して寧ろ蒼く、これも広袖を纏っている。一見香具師の女親方、膝を崩してベッタリと、男の前に坐っている。
男の名は猪右衛門、そうして女の名は玄女である。
夫婦ではなくて、相棒だ。
家は玄女の家である。
「全く仕事の性質から云えば、かなりむずかしい仕事だからな、うまく仕遂げて来ればいいが、早く結果を聞きたいものさ」こう云ったのは猪右衛門、「まごまごすると夜が明ける。宵の口から出て行って、いまだに帰って来ないなんて、どうもいつものあいつらしくないよ。やりそこなって恥かしくなって、どこかへ逃げたんじゃアあるまいかな」不安だという様子である。
「そんな心配はご無用さ」
玄女には自信があるらしい。
「百人二百人乾児もあるが、度胸からいっても技倆からいっても、猿若以上の奴はないよ。年といったらやっとこさ十五、それでいて仕事は一人前さ」
「だが相手の大将も、尋常の奴じゃアないんだからな」やっぱり猪右衛門は不安らしい。
「そりゃア云う迄もありゃアしないよ。昔は一国一城の主、しかも西洋の学問に、精通している人間だからね」
「だからよ、猿若やりそこない、とっ捕まりゃアしないかな」