Japanische Klassiker mit Furigana
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なんばんひわもりうこんまる
南蛮秘話森右近丸
国枝 史郎
Lesen Sie 南蛮秘話森右近丸 (なんばんひわもりうこんまる) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.869 Zeichen · 112 Bildschirme
「こんなものだアーッ」と凄じい掛声! 右近丸を目掛けて猪右衛門は一本「突き」を突っ込んだ。立派な腕前、油断のならぬ気魄、右近丸思わずギョッとしたが、さてその右近丸ときたひには、この時代の剣聖塚原卜伝、その人に仕込まれた無双の達人、香具師の頭猪右衛門などに、突かれるようなヤクザではない。横っ払いに払い捨てた。と、チャリーンと太刀の音! 人通りの絶えた寂しい五条、そこの夜の気に響いたが、さすがに気味の悪い音であった。
と、一方この時分、民弥は懐刀を振りかざし、玄女の行手へ突っ立っていた。
17
行手へ突っ立った娘の民弥、
「玄女さんとやら、改めて、貴女へお願い致します。人形をお返し下さいまし」
言葉は優しいが態度は強く、厭と云ったら用捨しない、懐刀で一揮、片付けてやろうと、決心しながら詰め寄せた。素性は名流北畠家の息女、いつの間にか父親多門兵衛尉に、武術の教を受けたものと見え、体の固め眼の配り、寸分際なく神妙である。
しかし一方香具師の頭、玄女も決して只者ではなかった。
「民弥さんとやら、断わりましょう」にべもなくポンと付っ刎ねたが、「この人形の返されない訳は、今も仲間の猪右衛門さんが、お話ししたはずでございますよ。