Japanische Klassiker mit Furigana
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はんこう
反抗
豊島 与志雄
Lesen Sie 反抗 (はんこう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.121 Zeichen · 282 Bildschirme
変な意地からふと為した約束ではあったが、彼はもうそれを悔いてはいなかった。求めても得られないいい機会だった。此度こそ彼女に直接ぶつかってみよう、というのが彼の考えの全部だった。
然しお清はなかなかやって来なかった。周平は苛ら苛らしてきた。約束をした時の調子が調子だったので、或は来ないのかとも考えられた。彼は橋の西側を三四度往き来した。深い谷間に霧が濛々と渦巻いていて、両岸から差出た木立が梢の方だけ浮出して見え、その間から遠くに街路の灯が点々としてるのが、山の湯という感じを持っていた。彼はいつしかその景色に見とれて、橋の欄干にもたれて佇んだ。ともすると決心が鈍って、一種の甘い感傷に陥りかける心を、自ら気づいては抑え抑えした。
彼はお清の家がどの方面にあるかを知らなかった。然し大抵は院線電車で来るだろうという気がした。電車が来て、可なりの人が停車場から吐き出されるのを、じっと物色してみたが、お清の姿を見出さないと、淡い不安に囚えられていった。そしてはまた橋の中程まで行って、その欄干にもたれて佇んだ。
停車場から出て来た人の足音が途絶えて、あたりがひっそりとなった時、お清はひょっくり霧の中から現われてきた。