Japanische Klassiker mit Furigana
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はんこう
反抗
豊島 与志雄
Lesen Sie 反抗 (はんこう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.121 Zeichen · 282 Bildschirme
その眼へ、次にその口へ、唇を押しあてた。そして突然、自ら自分をぎ取るようにして立ち上った。
「僕はもう帰るよ。」
お清は静かに上半身を起して、後手に髪を撫で上げた。
「帰っていいだろう。」と周平は足先でぐるりと廻りながら云った。
「ええ。だけど……。」彼女は長く間を置いて、それから俄に彼の方を仰ぎ見て云い添えた。「あなたはもう私と逢わないつもりでしょう。別れ際にお茶でも飲んでいらっしゃいよ。」
終りを冗談の調子で云ってのけて、彼女は起き上った。周平はまた炬燵に坐った。火鉢にかかってた錻力の大きな薬鑵の湯で、彼女は無雑作にお茶をいれた。そして二人はぼんやり顔を見合った。もう何にも云うことも考えることもないような、落着いた空しい気持だった。
四十三
夜が明けたばかりの寂しい街路を、周平は電車にも乗らず、何物にも眼を止めず、怪しく乱れながら落着いてる気持を懐いて、真直に下宿へ帰った。
お清とのその朝のことが、頭の底にこびりついて離れなかった。それかといって、何物もはっきり掴めるものはなかった。鼻に沁み込んだ匂いに似ていた。考えることが出来なくて、ただ嗅ぎ取られるばかりだった。