Japanische Klassiker mit Furigana
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とりかじ
取舵
泉 鏡花
Lesen Sie 取舵 (とりかじ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.453 Zeichen · 15 Bildschirme
」
渠は再び横になりて謹聴せり。学生は一笑して後件の譚を続けたり。
「その祝の赤飯だ。その上に船賃を取らんのだ。乗合もそれは目出度と言うので、いくらか包んで与る者もあり、即吟で無理に一句浮べる者もありさ。まあ思い思いに祝ッてやったと思いたまえ。」
例の饒舌先生はまた呶々せり。
「君は何を祝った。」
「僕か、僕は例の敷島の道さ。」
「ふふふ、むしろ一つの癖だろう。」
「何か知らんが、名歌だッたよ。」
「しかし伺おう。何と言うのだ。」
学生はしばらく沈思せり。その間に「年波」、「八重の潮路」、「渡守」、「心なるらん」などの歌詞はきれぎれに打誦ぜられき。渠はおのれの名歌を忘却したるなり。
「いや、名歌はしばらく預ッておいて、本文に懸ろう。そうこうしているうちに船頭が出て来た。見ると疲曳の爺様さ。どうで隠居をするというのだから、老者は覚悟の前だッたが、その疲曳が盲なのには驚いたね。
それがまた勘が悪いと見えて、船着まで手を牽れて来る始末だ。無途方も極れりというべしじゃないか。これで波の上を漕ぐ気だ。皆呆れたね。険難千方な話さ。けれども潟の事だから川よりは平穏だから、万一の事もあるまい、と好事な連中は乗ッていたが、遁げた者も四五人は有ッたよ。