Japanische Klassiker mit Furigana
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とりかえしものがたり
取返し物語
岡本 かの子
Lesen Sie 取返し物語 (とりかえしものがたり) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.882 Zeichen · 28 Bildschirme
どれもう一軒訪ぬるところがある。暇としよう』
源右衛門『もうお帰りでござりまするか』
(おさき、竹原の幸子坊の手に松明の無いのを見て)
おさき『幸子坊さん、松明は?』
幸子坊(手を開いて見て)『えっ、松明? その松明は』(思わず蓮如の顔を見る)
蓮如『何の行き慣れた西近江街道、杖、松明の助けは要らぬわ……………………それに就いて思い出した。こちの息子の源兵衛はな、門徒若衆達の寄合いの帰りに今宵は山科に来ている筈、戻りは遅うなろうも知れん。決して心配さっしゃるな』
源右衛門『御念の入ったおことわり。御用事あらばなんぼなりと、お使いなされて下されまし』
蓮如『では、おさらば』
源右衛門、おさき『おしずかに、おいでなされませ』
(蓮如上人は幸子坊を連れて出て行く。源右衛門、おさきは朽木の門の外まで送って出て、花道へかかる上人と訣れる。浪の音、雁の声。源右衛門、庭に立ったまま、暫らく腕組みして瞑目している。おさきもこごんで思案して居る。やがて)
源右衛門『なあ、おさき』
おさき『え、何え?』
源右衛門『上人さまは、わざわざ留めにお出でなされたが、末世の時に叶い、潮に乗った御門徒衆の、今日此頃の勢い、御同行衆のみんな、やみやみ三井寺方の言い条を、その儘聴いて泣寝入りとは、どうしてもわしには考えられんのだ』