Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふのきせつ
叢書名著の復興1 恐怖の季節
三好 十郎
Lesen Sie 叢書名著の復興1 恐怖の季節 (きょうふのきせつ) von 三好 十郎 (みよしじゅうろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.544 Zeichen · 508 Bildschirme
(お咲以外の他の子供達は全部奥の納戸で寝ついてしまっている)お咲の泣声が高くなる度に、自身に子供を持ったこともないお妙にはどうしてよいかわからず術ないままに歌っている子守歌も涙声になりかかる。
お妙 ……ああよ、ああよ、咲ちゃはええ子だな、ええ子だな。ああよ……。兄ちゃんや姉ちゃんは、もうみんな寝てしまったのよ。おまんまを食べて、それから、おとなに寝てしまうた。寝ないのは咲ちゃだけよ。咲ちゃはキイキが悪いねえ。おまんまは食べられない。食べる? 食べるの、咲ちゃ? (と肩越しに振向くお妙の顔を、ヤーンとまた激しく泣き出したお咲が小さい平手で撲る)……おおよしよし、食べたくない、咲ちゃは食べたくないの。そうじゃねんねしようね、咲ちゃは善い子だねえ……あああ、ねえ……(と意味のない声を出して子を揺さぶり歩きながら、うるんできた眼尻を指先でこすっている。突然、奥遠くで三、四人の男の声が走りながら何かけたたましく叫び交す。それが消えたと思うと、遥かに遠くの方でドーンと、微かな地響を伴った大砲の音。ギクッとして歩みを止めて立つお妙。音でチョッと泣声を止めたお咲が、前よりも更に激しく泣き出す。