Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふるいど

古井戸

豊島 与志雄

Lesen Sie 古井戸 (ふるいど) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.433 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

馬鹿に大きな力で、大磐石にでも押えつけられたようで、いくら※(「足へん+宛」、第3水準1-92-36)いても、身動きさえも出来なかった。女はなおも襟元をしめつけながら、ぐいぐいと押してくる。彼は縁側の柱に押しつけられ、息がつまり、身体がひしゃげ、苦しさにむーとこらえた、とたんに、ほーとして眼が覚めた。

身体中にねっとり脂汗をかいて、手足が痺れていた。がそれよりも更に不思議なのは、夢に見た光景が一々、覘眼鏡ででも見るように、実物以上の透き通った明瞭さで、まざまざと頭の中に残っていた。庭の有様、車井戸、井戸枠に腰掛けてる高島田の女、その女がすーっと下りてきて襟を締めつけたこと、それが一々、陰影のない明るさで浮び上っていた。ただ、庭以外のことと、女の首から下とだけは、何にも分らなかった。

彼は怪しくぞーと寒けがして、起上って電燈をつけた。室中がぱっと明るくなったが、その光の届かないどこか奥深い暗闇の中に、庭や車井戸や女のことが、くっきりと浮出していて消えなかった。

それでも彼は、家の人達を呼び起すのも不甲斐ないと、不気味なのをじっと我慢して、とうとうその夜を明かしてしまった。