Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 220.431 Zeichen · 428 Bildschirme
しかるに、少女はその名を静と呼ばれているということと、疑問のおふくろをのぞいてはひとりの身よりも肉身もないということのみは包まずに答えましたが、右門のききたい肝心の継母に関しては、一言もことばを触れなかったのです。どれほどかまをかけてみても、利発そのもののような愛くるしいまなざしを伏せるだけで、ほとんどその片鱗をさえ伝えようとしなかったものでしたから、いよいよ右門が疑いの雲を深めているとき、通しの早駕籠かなんかで勢いよく駆け帰ってきたものは、深川へ行った伝六でありました。
「さ、だんな、お出ましだ。ほし! ほし! 大ぼしですぜ」
的中したことを喜ぶあまり、おかまいもなくすぐにぶちまけようとしたものでしたから、右門は少女のいじらしい心根をおしはかって、とっさに目まぜでしかっておくと、別間に伝六をいざないながら、その報告を聞きました。
それによると、お静への打擲折檻はむろんのことににらんだとおりで、今までも近所かいわいに評判なほどでしたが、ことに浪人者の不審なる入水以後は、どうしたことか毎夜五つから四つまでの時刻にいっそう折檻の度が強まって、ひいひいと痛苦に泣き叫ぶお静の悲鳴が近所にもしばしば聞こえたということでありました。