Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うもんとりものちょう

右門捕物帖(一)

佐々木 味津三

Lesen Sie 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 220.431 Zeichen · 428 Bildschirme

Aozora Bunko

「はっ……なにかといろいろご不自由もござりましょうゆえ、旅の宿のつれづれなぞをお慰めに参れとかようにお申されましたので、ふつつかながら参じましてござります……」

「それはお奇特なこと。お名まえはなんと申されまするか」

「ゆみ――あの、弓と申しまする……」

「ほほう、お弓様と申されまするか、いちだんとよいお名まえでござりまするな。さいわい、わたくしめは白羽矢之助と申しますゆえ、弓に白羽の矢では、ちょうどよい取り合わせでござりまするな」

珍しくむっつり右門が浮かれ屋右門になって、そんな冗談をいっていましたが、しかし、かれのまなこはそういう間にも絶えず小娘の身辺に鋭くそそがれ、その耳はまた絶えずなにものかを探るように表のほうに傾けられたままでした。

と――夜陰にこもって、おりからちょうど、ごうんごうんと、遠寺のときの鐘です。数えると、まさに九ツ! 同時に、右門の態度ががらり変わりました。

「さ! 伝六! ひとかせぎしような」

突然鋭く言いすてると、不意にすっくと立ち上がったものでしたから、こちこちになっていた伝六は、はじめて毒気が抜けたようにお株を取りもどして、すっかり生地のままの伝六となりました。