Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(二)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(二) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 221.941 Zeichen · 435 Bildschirme
「伝六。床を敷け」
「…………」
「何を泣くんだ。泣いたって、しようがねえじゃねえか。早く敷きなよ」
「でも、あんまりくやしいじゃござんせんか」
「身分が低けりゃしかたがねえんだ。なんぞ尾州様におさしつかえがおありなさるんだろうから、早く敷きなよ」
「じゃ、辰とふたりでお口に合うものをこしれえますから、おまんまだけでも召し上がってから、お休みくだせえましな」
「胸がつかえて、それどころじゃねえんだ。世の中があじけなくて、生きているのもこめんどうになったから、早く敷いて寝かしてくれよ」
悲しげに横たわると、そのまますっぽり夜具の中に面をうめてしまいました。
4
その翌朝。――
勤番出仕の時刻が来ても、なお名人は床にはいったままでした。ほんとうに世の中があじけなくなりでもしたか、いつまでもいつまでも床の中にはいったままでした。また、名人の身になってみれば、およそこの世にこれ以上のせつないことはなかったのでありましょう。日ごろご愛顧くださる伊豆守様までが詮議を禁じたうえに、そのまた禁じ方なるものが、さながら尾州家において名人の出馬するのを恐るるもののごときけはいがうかがわれましたものでしたから、身分の相違、役の低さに、しみじみとこの世がはかなく思えたのはむべなりというべきでした。