Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(四)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(四) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.105 Zeichen · 337 Bildschirme
絵心のないものに彫りはできないのであるから、絵筆絵の具に不思議はないが、束にしておいてある扇子がいかにも不審なのです。
「おやじ、栄五郎は下絵がうまいか」
「うまい段じゃござんせぬ。絵かきになるつもりで修業をしているうちに、ふいっと彫り物がやってみたくなりましてこの道へはいったんでございますから、玄人はだしの絵をかきますよ」
「よしよし。何か眼がつくだろう。あざやかなところをお目にかけようぜ」
取りあげてその扇子を開いてみると、なぞのような絵となぞのような字がかかれてあるのでした。絵は咲きみだれた小菊、すみに小さく両国新花屋と見えるのです。しかも一本だけではない。五十本ほどの扇子のほとんど半数に、同じその絵その文字が見えました。同時です。
「伝六、駕籠だッ」
「ちぇッ、たまらねえね。行く先ゃどこですかい。こないだは箱根へとっぱしったが、今度は奥州仙台石巻とでもしゃれるんですかい」
「両国の新花屋だよ」
「新花屋! はてね、あそこはこのごろできた白首女の岡場所だが、だんなのなじみがいるんですかい」
「しようのねえやつだな。なんて血のめぐりがわりいんだ。この扇子をよくみろい。