Japanische Klassiker mit Furigana
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こどものかなしみ
号外・少年の悲哀 他六篇
国木田 独歩
Lesen Sie 号外・少年の悲哀 他六篇 (こどものかなしみ) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.584 Zeichen · 59 Bildschirme
「もうだめだ」と、十日ぐらい前から文公は思っていた。それでもかせげるだけはかせがなければならぬ。それできょうも朝五銭、午後に六銭だけようやくかせいで、その六銭を今めし屋でつかってしまった。五銭は昼めしになっているから一文も残らない。
さて文公はどこへ行く? ぼんやり軒下に立って目の前のこの世のさまをじっと見ているうちに、
「アヽいっそ死んでしまいたいなア」と思った。この時、悪寒が身うちに行きわたって、ぶるぶるッとふるえた、そして続けざまに苦しい咳をしてむせび入った。
ふと思いついたのは、今から二月前に日本橋のある所で土方をした時知り合いになった弁公という若者がこの近所に住んでいることであった。道悪を七八丁飯田町の河岸のほうへ歩いて暗い狭い路地をはいると突き当たりにブリキ葺の棟の低い家がある。もう雨戸が引きよせてある。
たどり着いて、それでも思い切って、
「弁公、家か。」
「たれだい。」と内からすぐ返事がした。
「文公だ。」
戸があいて「なんの用だ。」
「一晩泊めてくれ。」と言われて弁公すぐ身を横によけて
「まアこれを見てくれ、どこへ寝られる?」
見ればなるほど三畳敷の一間に名ばかりの板の間と、上がり口にようやく下駄を脱ぐだけの土間とがあるばかり、その三畳敷に寝床が二つ敷いてあって、豆ランプが板の間の箱の上に載せてある