Japanische Klassiker mit Furigana
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よしわらしんわ
吉原新話
泉 鏡花
Lesen Sie 吉原新話 (よしわらしんわ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.157 Zeichen · 75 Bildschirme
(袴着た殿い、な、)と呼懸ける、確かに私を呼んだんだ。どこの山家のものか知らんが、変な声で、妙なものいいさ。「袴着た、」と言うのか、「墓場来た、」と言うのか、どっちにしても「殿」は気障だ。
が、確に呼留めたに相違無いから、
(俺か。)
(それよ、)……と、気になる横柄な返事をして、もやもやと背伸びをして立った……らしい、頭を擡げたのか、腰を起てたのか、上下同じほどに胴中の見えたのは、いずれ大分の年紀らしい。
爺か、婆か、ちょっと見には分らなかったが、手拭だろう、頭にこう仇白いやつを畳んで載せた。それが顔に見えて、面は俯向けにしながら、杖を支いた影は映らぬ。
(殿、な、何処へな。)
と、こうなんだ。
私は黙って視めたっけ。
じっと身動きもしないで、返事を待っているようだからね、
(吉原へ。)
と綺麗に言ったが、さあ、以前なら、きっとそうは言わなかったろう。その空がさっぱりと晴々した心持だから、誰に憚る処も無い。おつけ晴れたのが、不思議に嬉しくもあり、また……幼い了簡だけれども、何か、自分でも立派に思った。
(真北じゃな、ああ、)
とびくりと頷いて、
(火の車で行かさるか。