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Japanische Klassiker mit Furigana

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きらこうずけのたちば

吉良上野の立場

菊池 寛

Lesen Sie 吉良上野の立場 (きらこうずけのたちば) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.369 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

五

竜の口、堀通り角の伝奏屋敷は、塀も壁もすっかり塗り替えられて、庭の草の代りに、白い砂が、門をはいると玄関までつづいていた。

吉良が、下検分に来るという日なので、替りの人々は、早朝から詰め切って、不安な胸でいた。

「どこも、手落ちはないか」

「無いと思う」

「思うではいけない」

「じゃ断じてない」

「でも、七百両ではどこかに無理が出よう」

「相役の伊達左京の方は、いくら使ったかしら?」

「それはわからん!」

「伊達より少ないと、肩身が狭いぞ」

「第一評判が悪くなる」と、人々がいっている時、

「吉良上野介様あ!」と、玄関で呼ぶ声がした。

「そらっ!」

人々が立ち上った。玄関の式台、玄関脇には、士が、小者が、つつましく控えていた。玄関の石の上に置いた黒塗りの駕から上野介が出て、出迎えの人々にかるく一礼して、玄関を上った。人々は、上野の顔色で、上野の機嫌を判断しようとした。

「内匠頭は?」

「只今参上いたします」

上野は、内匠頭が玄関に出迎えぬので、いよいよ腹立ちと不愉快さとが重なってきた。そして式台を上って、玄関に一足踏み込むと、

「この畳は?」と、下を見た。