Japanische Klassiker mit Furigana
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ななしゆびものがたり
名なし指物語
Lesen Sie 名なし指物語 (ななしゆびものがたり) von Niimi Nankichi (新美 南吉) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N4. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N4 · Einstieg · moderne Kanji und Kana · 10.312 Zeichen · 21 Bildschirme
そしてふたりが、だまったまま、しばらく歩いたあと、
「三十年もまえにとび出したんだから、ひょっとすると、あなたのおかあさんがわかかった時分を、知ってるかもしれませんね。おかあさんのお名前は?」
と、男はききました。
マタンは、興味がわいてきました。
「わたしのおかあさんは、ローザといいます。」
「ローザ?」
とつぶやいて、男はなにか、遠いむかしのことを思い出そうとするように、考えこみました。そして、しばらくすると、
「あ、そうだ。思い出しました。思い出しました。ローザ、ローザ。」
と、なつかしむようにいって、マタンの亜麻色のかみが、ぼうしのふちからのぞいているのをちらっと見て、
「あなたのおかあさんは、亜麻色のかみをしていましょう。」
といいました。
「いいえ。金髪です。」
と、マタンは答えました。すると男はあわてて、
「ああ、そうそう、金髪でした。そういおうと思っていて、うっかり、まちがったことをいってしまいました。」
と、いいわけをしました。そしてこんどは、マタンの目の小さいのを見て、
「あなたのおかあさんは、小さい、かわいい目だったと思いますが。――」
といって、こんどはまちがっていないだろうというように、マタンの顔を見つめました。