Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lesen Sie 名人地獄 (めいじんじごく) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.286 Zeichen · 301 Bildschirme
翌晩またも辻斬りがあった。場所は上野の山下で、殺されたのは二人の武士、やっぱり桃井の塾弟子であった。しかるにもう一人隅田堤で、町家の主人が殺されていた。
それからひきつづいて十日というもの、毎晩三人ずつ殺された。二人はいつも武士であったが、一人はおおかた町人で、そうしてきっと金を取られていた。
鼓賊の禍いにかててくわえて、辻斬り沙汰というのであるから、江戸の人心は恟々として、夜間の通行さえ途絶えがちになった。
こういう物騒なある晩のこと、面白い事件が勃発した。いやそれはむしろ面白いというより、奇怪な事件といった方がよい。町人一人に武士五人、登場人物は六人であった。素晴らしい事件ではあったけれど、また非常に複雑を極めた、微妙な事件ではあったけれど、秘密の間に行われたためか、市民達はほとんど知らなかった。捕物帳にも載せてなければ、奉行所の記録にも記されてない。これは疎漏といわなければならない。
で、その晩のことであるが、みすぼらしい一人の侍が、下谷池ノ端をあるいていた。登場人物の一人であった。すると向こうから老武士が来た。登場人物の二人目であった。