Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lesen Sie 名人地獄 (めいじんじごく) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.286 Zeichen · 301 Bildschirme
黒塗りの足駄で薄雪を踏み、手は両方とも懐中手、大跨にノシノシ近寄って来たが、
「穴ッぱいりか、え、和泉屋、羨ましいな、奢れ奢れ」
「えッヘッヘッヘッ、どう致しまして。ちょっとそこまで野暮用で」
「冗談だろう、嘘をいえ。野暮用というなりではない。ここは浅草雷門、隅田を越すと両国盛り場。聞いたぞ聞いたぞその両国に、新しい穴を目つけたそうだな。羨ましいな一緒に行こう」
始末につかない坊主であった。
「それはそうと、オイ和泉屋、近来ちっとも顔を出さないな」
「へえ、ちょっと、稼業の方が……」
「ナニ稼業? そんなものがあるのか」そらっ呆けてやり込めた。
「やりきれねえなあ、魚屋で」
「いや、それなら知ってるよ。だが、そいつあ表向き、お上を偽く手段じゃねえのか」
「とんでもないこと、どう致しまして」次郎吉はいやアな顔をした。
「ほんとに魚を売るのかえ」
「売る段じゃございません」
「塩引きの鮭でも売るのだろう」
「ピンピン生きてるたいやこちをね」
「おお、そうだったか、それは気の毒。アッハハハ、面白いなあ」
益※(二の字点、1-2-22)厭味に出ようとした。
「なにの、俺は、お前の稼業は、こいつだろうと思っていたのさ」