Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lesen Sie 名人地獄 (めいじんじごく) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.286 Zeichen · 301 Bildschirme
「船をおりてどうなされます?」「実は」というと平八は、森田屋の側へズイと寄り、「さるお方に頼まれて、大事の密書を預かっているのだ。渡す相手は赤格子、そこでこんな変装までして、彼奴の行方をさがしていたのさ。銚子にいると耳にしては、どうも一刻もうっちゃってはおけない。頼む、小船を仕立ててくれ。そうして銚子へ着けてくれ」
これを聞くと森田屋は、にわかに当惑の表情をした。「旦那、せっかくのお頼みですが、どうもそいつだけは出来かねますなあ」「なぜ出来かねる? え、なぜだ?」「秋山先生のおいでを待って、赤格子攻めをやろうというのが、私達の計画なのでございますよ。その先生がおいでなされた今は、一刻も急がなければなりませんので。で今船は根拠地へ向けて、走っているのでございますよ。それだのに旦那をお送りして、うっかり小船を陸へでも着け、もし役人にでも感づかれたら、それからそれと足がつき、一網打尽に私達は、召し捕られないものでもありません。大事な瀬戸際なのでございますよ。ですからどうもこればかりは、おひきうけすることはできませんなあ」「だが俺はどうしても、赤格子攻めのその前に、九郎右衛門に行き会わなかったら、頼まれたお方に申し訳が立たぬ。