Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lesen Sie 名人地獄 (めいじんじごく) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.286 Zeichen · 301 Bildschirme
とまれ様子をうかがってみよう」そこで彼は歩いて行った。行く手に一つの部屋があった。九郎右衛門の病身の妻、お妙の住んでいた部屋なのであるが、今は誰もいなかった。で、平八はその部屋へ素早くからだを辷り込ませ、扉の隙間から廊下の方を息を凝らしてうかがった。こなた鼓賊の次郎吉は、西へ西へと歩を運んだが、かつて丑松の住んでいた、そうして今はガラ空きの、一つの部屋の前まで来た時反対側を歩いていた、忍ぶがような足音が、にわかにピッタリ止まったので、これもピッタリ足を止めた。そうして彼は考えた。
「銀之丞様も銀之丞様だが、俺の真の目的は、この家の巨財を奪うことだ。鼓に答えた億万の巨財! いったいどこにあるのだろう? ポンポンと鼓を調べさえしたら、音色を通して、感じられるのだが、まさかここでは打たれない。眼を覚まさせるようなものだからな。……おや足音が止んでしまったぞ。いずれはこの家の召使いだろうが、ちょっと様子を見たいものだ。……待ったり待ったりあぶねえあぶねえ、泥棒とでも呼ばれたものなら、百日の説法何とやらだ。……おおここに部屋がある。ここに少し忍んでいてやろう」