Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lesen Sie 名人地獄 (めいじんじごく) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.286 Zeichen · 301 Bildschirme
……聞けばお北もあの家で、首を縊ったと申すこと。因果応報なのでございましょう。恨みはこれで晴れました。ああいい気持ちでございます。でも寂しゅうございます。一人ぼっちでございますもの。……お手数恐縮ではございますが、どうか私を召し連れて、お上へお訴えくださいますよう。人殺しをしたのでございます。兄の敵とはいいながら、武士を殺したのでございます。おしおきになりとうございます」
周作が甚内を召し連れて、西町奉行へ訴えたのは、その翌日のことであった。
そこで奉行は取り調べた。敵討ちに相違なく、それに相手の富士甚内は、辻斬りの張本というところから、甚内はかえって賞美され、なんのお咎めも蒙らなかった。
喜んだのは周作で、甚内を屋敷へ引き取るや、今後の方針を訊ねてみた。
「追分へ帰りとう存じます。故郷はよい所でございます。兄の墓場もございますし、妹お霜も同じ土地へ、葬ってやりとう存じます。そうして私は追分で、兄の代りに馬を追い、馬子で暮らしとう存じます」
これが甚内の意志であった。
そこで周作もそれに同じ、諸方から集まった同情金へ、さらに周作が金を足し、門弟達にも餞別を出させ、三百両の大金とし、これを甚内へ送ることにした。