Japanische Klassiker mit Furigana
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めいくんただゆき
名君忠之
夢野 久作
Lesen Sie 名君忠之 (めいくんただゆき) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.683 Zeichen · 32 Bildschirme
立て立て……。サッ……立ていッ……」
大力の昌秋に引っ立てられて、与一はバッタリと横倒しになりながら片手を突いた。恨めしげに祖父の顔を見上げたが、唇をキッと噛むと、ムックリと起き直って、手強く祖父の手を振りほどいた。突と立上ってバラバラとお縁側から庭先へ飛び降りた。肩上の付いた紋服、小倉の馬乗袴、小さな白足袋が、山茶花の植込みの間に消え込んだ。
「コレッ。与一どこへ行く」
と祖父の昌秋が、縁側に走り出た時、与一はもう、足袋跣足のまま西村家裏手の厩へ駈け込んでいた。
「ヤレ坊様……あぶない……」
と抱き止めにかかる厩仲間を、
「エイッ……」
と一と当て、十三四とは思えぬ拳の冴えに水月を詰められて、屈強の仲間がウムムと尻餅を突いた。その隙に藁庖丁の上に懸けて在る手綱を外して、馬塞棒の下を潜って、驚く赤馬をドウドウと制しながら、眼にも止まらぬ早業で轡を噛ませた。馬塞棒を取払って、裸馬へヒラリと飛乗ると、頭を下げながら手綱短にドウドウドウドウと厩を出た。裏庭から横露地を玄関前へタッタッタッと乗出して、往来へ出るや否や左へ一曲り、
「ハヨ――ッ」
と言う子供声、高やかに、早や蹄の音も聞こえなくなってしまった。