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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいくんただゆき

名君忠之

夢野 久作

Lesen Sie 名君忠之 (めいくんただゆき) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.683 Zeichen · 32 Bildschirme

Aozora Bunko

と与一は呼吸を喘ませた。

「逃がすものか……」

「アレエッ。誰か出会うてッ。与一ちゃまが乱心……ランシイ――ンン……」

「おのれッ……云うかッ……おのれッ……」

東の縁側から逃げ出した七代の乱れた髻に、飛鳥のごとく掴みかかった与一は、そのまま飛石の上をヒョロヒョロと引き擦られて行った。金剛兵衛を持直す間もなく泉水の側まで来た。脱げかかった帯と長襦袢に足元を絡まれた七代はバッタリと低い石橋の上に突っ伏した。その後髪を左手に捲き付けた与一は、必死と突伏し縮める白い頸筋をグイグイと引起しざま、

「……エイッ……エイッ……」

と片手なぐに斬り放しにかかった。七代は両手を泉水に突込んだまま一太刀毎に穢い死に声を絞った。

五

与一は二つの女首を泉水に突込んで洗った。長襦袢の袖に包んで左右に抱えた。真紅な足袋跣のまま離れ座敷を出ると、植込みの間に腰を抜かしている若党勇八を尻目に見ながら、やはり足袋跣のまま、悠々と玄関脇の仏間へ上って来て、低い位牌壇の左右に二つの首級を押し並べた。赤い袖の頬冠りをした女首が、さながらに奇妙な大輪の花を供えたように見えた。

与一はそこで汚れた足袋を脱いで植込みの中へ投げた。