Japanische Klassiker mit Furigana
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ひまわりのめ
向日葵の眼
野村 胡堂
Lesen Sie 向日葵の眼 (ひまわりのめ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.919 Zeichen · 18 Bildschirme
「アッ、締めたッ」
香椎六郎は手をかけて引剥そうとしましたが、向日葵は床に固着してビクともしません。
「叔父さん螺旋じゃありませんか」
「成程」
花弁へ手をかけて右へ廻すと、思いの外滑らかに動いて、方二尺の向日葵は、そのままポカリと床から抜けます。――跡は真っ暗な穴、覗くと狭いながら下の方へ走る段々も見えます。
これは後で判ったことですが、向日葵の蕊の穴の中には、薄い真鍮板で包まれた、煙火仕掛の爆薬があって、レンズで集めた太陽の熱を長く当てると、中の爆薬が独りでに発火して、自然向日葵を押し上げる仕掛けになっていたのです。
真鍮板の中の極く小さい一点を、長く温めなければ、下の爆発は起らないのですから、これは成程、天気の好い日に、レンズで焼くより外に手段はなかったのです。わかってしまえば、他愛も無い仕掛けですが、「向日葵に眼を与えよ」という言葉を知らなければ、この秘密の戸はどうしたって開かれるわけはありません。
さて、思いもよらぬ場所に通路を見付けた三人は、恐ろしさも何も忘れて、その梯子を降りて行きました。香椎六郎が先頭、次は麗子、殿は加奈子、カビ臭い風が顔を撫でて、その気味の悪さというものはありませんが、今はもう三人とも緊張し切って、ろくに口をきく者もありません。