Japanische Klassiker mit Furigana
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ひまわりのめ
向日葵の眼
野村 胡堂
Lesen Sie 向日葵の眼 (ひまわりのめ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.919 Zeichen · 18 Bildschirme
「それならあるワ」
「エッ、何? どんなもの?」
せき込む加奈子の前へ、麗子は可愛らしいなめし革の蟇口を開けて、その中から蒲鉾形の金の指環を一つつまみ出しました。
「これなの、なんでもお母様がお父様から頂いた指環で、大変大事なんですって、それを御母様が見えなくなる二三日前に私へ下すって、この指環は大事だから、一生大事にしまっておくれ、その指環には亡くなられたお父様の魂が彫んでありますよ――って仰しゃったワ」
「どれどれ、一寸見せて頂戴な」
手に取って見ると、蒲鉾形の平凡な指環ですが、その上には、見事な向日葵の花が一輪高彫になっていて、その蕊は一カラットもあろうかと思う、小さいながら美しいダイヤがはめ込みになっておりました。
内側を見ると、K18という刻印の外に、丁度ダイヤの裏側へ、何やら細かい文字が毛書きに彫ってありますが、加奈子の良い眼で見てもこれは読めません。
「麗子さん、此裏に彫ってある字を読んだことあって?」
「いいえ」
「何んと彫ってあるかしら、虫眼鏡があるといいけれど、――」
加奈子は思わず四辺を眺めました、が上野公園の木立の中で、虫眼鏡を手に入れる工夫は思いつきません。