Japanische Klassiker mit Furigana
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『わがはいはねこである』じょうへん
吾輩は猫である
Lesen Sie 吾輩は猫である (『わがはいはねこである』じょうへん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.123 Zeichen · 643 Bildschirme
ねえ東風君」「へえどうも消極過ぎるように思います」と真面目な顔をして答えた。
主人は少々談話の局面を展開して見たくなったと見えて、「どうです、東風さん、近頃は傑作もありませんか」と聞くと東風君は「いえ、別段これと云って御目にかけるほどのものも出来ませんが、近日詩集を出して見ようと思いまして――稿本を幸い持って参りましたから御批評を願いましょう」と懐から紫の袱紗包を出して、その中から五六十枚ほどの原稿紙の帳面を取り出して、主人の前に置く。主人はもっともらしい顔をして拝見と云って見ると第一頁に
世の人に似ずあえかに見え給う
富子嬢に捧ぐ
と二行にかいてある。主人はちょっと神秘的な顔をしてしばらく一頁を無言のまま眺めているので、迷亭は横合から「何だい新体詩かね」と云いながら覗き込んで「やあ、捧げたね。東風君、思い切って富子嬢に捧げたのはえらい」としきりに賞める。主人はなお不思議そうに「東風さん、この富子と云うのは本当に存在している婦人なのですか」と聞く。「へえ、この前迷亭先生とごいっしょに朗読会へ招待した婦人の一人です。ついこの御近所に住んでおります。