Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

Lesen Sie 吾輩は猫である (『わがはいはねこである』じょうへん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.123 Zeichen · 643 Bildschirme

Aozora Bunko

「別に迷惑の事もないがね……」「こちらへ上っても自分の姓名のことについて何か弁じて行きゃしませんか」「いいえ、そんな話もなかったようだ」「そうですか、どこへ行っても初対面の人には自分の名前の講釈をするのが癖でしてね」「どんな講釈をするんだい」と事あれかしと待ち構えた迷亭君は口を入れる。「あの東風と云うのを音で読まれると大変気にするので」「はてね」と迷亭先生は金唐皮の煙草入から煙草をつまみ出す。「私しの名は越智東風ではありません、越智こちですと必ず断りますよ」「妙だね」と雲井を腹の底まで呑み込む。「それが全く文学熱から来たので、こちと読むと遠近と云う成語になる、のみならずその姓名が韻を踏んでいると云うのが得意なんです。それだから東風を音で読むと僕がせっかくの苦心を人が買ってくれないといって不平を云うのです」「こりゃなるほど変ってる」と迷亭先生は図に乗って腹の底から雲井を鼻の孔まで吐き返す。途中で煙が戸迷いをして咽喉の出口へ引きかかる。先生は煙管を握ってごほんごほんと咽び返る。「先日来た時は朗読会で船頭になって女学生に笑われたといっていたよ」と主人は笑いながら云う。