Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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るそんのつぼ

呂宋の壺

久生 十蘭

Lesen Sie 呂宋の壺 (るそんのつぼ) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.375 Zeichen · 36 Bildschirme

Aozora Bunko

「どんなあんばいだ。早う、ぬかせ」

物見台のマラッカ人は、

「たいへんだ」と叫び、それから、「向うの物見台にも人が上って、筒眼鏡でこちらを見ている」と報告した。

李旦という博多生れの福建人は、こんなことには馴れきっているふうで、急ぎもせずにゆっくりと舵場へ上って行った。

「庄兵衛どん、向うの船足はどうあるかい。逃げきれるとじゃろうか」

庄兵衛は、手庇をして向うの船足を計ってから、

「たいしたことはありますめえが、早駆けにしますか」

そういうと、一番かんぬきの帆係に、総帆あげろと命令をくだした。

サンチャゴが勢よく走りだすと、向うの黒船もにわかに船足を早め、海の上を電光形に間切りながら、サンチャゴのほうへ突っかけてくる。帆を撓め、船足を隠していたとしか思えないような鮮かな追撃ぶりであった。

「えらく足が出だした。下手をすると追いつかるるたい」

と李旦がいった。

「弾箱を出しておきましたけん、いッちょ射とうじゃにゃあですか」

新九郎が気負ったような顔でいうと、李旦は大きくうなずいてみせた。

「ぬしゃ、大筒ば射ちきるか。射てるなら射って見さっし」

新九郎はスマトラ人の水主を呼びあつめると、前敷の大筒のところへ走って行って弾丸込めにかかったが、生憎と、弾丸が筒口より大きくて、この急場には間にあわなかった。