Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わし

和紙

東野辺 薫

Lesen Sie 和紙 (わし) von 東野辺 薫 (とうのべかおる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.557 Zeichen · 70 Bildschirme

Aozora Bunko

朝の日が窓をはすに射してきて、はじめてほっと救われた気持になるのである。

楮を、小鉢と呼ばれる椀に一杯盛り上げた量が一槽分で、三十枚乃至三十五枚の紙になった。十五の年から父と交替で漉きはじめた友太は、今では、若手のうちでも熟練者として数えられていた。一日、朝の五時から夜の七時頃までかかって、十五槽、四百五十枚から五百二三十枚が普通であるのを、友太は、十七槽から、あぶらが乗れば十九槽に及ぶことさえあった。父がよく自慢する九百五十枚という桁はずれの記録は、実は十一時までの夜業をしての話であった。

漉槽は七尺に四尺で、深さが一尺二寸ある。漉屋の窓際に据えた槽の真上に、ばね竹が高く突き出て、漉簀をはめた簀框を吊っている。これをしならせて簀框が槽にひたった瞬間、腰、肩、手首が微妙に働いて、どろどろの漉き汁を三四遍揺すったと思うと、簀にはもう、一枚の紙となるべき繊維が毫末の厚薄もなく掬われている。簀框を前後に傾けて余分の汁を流してから、簀框の底についた鉤で、槽に渡した二本の台木をかき寄せながら乗せる時には、繊維を残した水の大部分は濾出している、框の上枠をはねのけ、簀をはずして両手で持つと、くるりとうしろを向いてそこの台に簀を剥ぎとって重ねて行く。