Japanische Klassiker mit Furigana
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あづまばし
問はずがたり・吾妻橋 他十六篇
永井 荷風
Lesen Sie 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇 (あづまばし) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.586 Zeichen · 159 Bildschirme
坊さんは道子の孝心を、今の世には稀なものとして絶賞し、その帰るのを門際まで送ってやった。
道子はバスの通るのを見て、その停留場まで歩き、待っている人に道をきいて、こんどは国府台から京成電車で上野へ廻ってアパートに帰った。
夏の盛の永い日も暮れかけ、いつもならば洗湯へ行き、それから夕飯をすますと共に、そろそろ稼ぎに出掛ける時刻になるのであるが、道子は出がけに敷いたままの夜具の上に横たわると、その夕ばかりはつかれたまま外へは出ずに眠ってしまった。
次の日の夕。道子はいつよりも少し早目に稼ぎ場の吾妻橋へ出て行くと、毎夜の顔馴染に、心やすくなっている仲間の女達の一人が、
「道ちゃん。昨夜どうしたの。来なくってよかったよ。」
「うるさかったのかい。わたし母さんの、田舎のお寺へお墓参りに行ったんでね。昨夜は早く寐てしまったんだよ。」
「宵の口には橋の上で与太の喧嘩があるし、それから私服がうるさく徘徊いててね、とうとう松屋の横で三人も挙げられたって云うはなしなんだよ。」
「じゃ、ほんとに来なくってよかったね。来たら、わたしもやられたかも知れない。やっぱりお寺の坊さんの言う通りだ。