Japanische Klassiker mit Furigana
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あづまばし
問はずがたり・吾妻橋 他十六篇
永井 荷風
Lesen Sie 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇 (あづまばし) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.586 Zeichen · 159 Bildschirme
出征した兄の遺骨が遺族のもとに送り届けられた後、両親始め親類の者達が相談して、そのまま兄嫁を弟にめあわせたのである。
戦争が終った年の暮。或日の夕方である。弟は夕飯をすまして隣の町へ用たしに出かけ、女房は店の戸締をして風呂へ行こうと外へ出た時、背に荷物を負い、両手にも革包をさげて、死んだ夫が忽然宵闇の中にその姿を見せた。妻は突差の恐怖に襲われ、父親を呼びながら家の中へ逃げ込んだ。その様子に父も驚いて外へ出て見て、初て兄の生きてかえって来たことを確めた。親子が家の中へ入って見ると、妻はいなかった。妻は勝手口から逃出して、二、三軒先の知り人の家へ身を隠した。知り人は小学校の先生で、女の再縁する折には仲人役をつとめたものである。
この先生も両親も、ともどもその場の処置に困ってその夜ひそかに嫁をその実家へ送り戻した。出征した兄は曽てその町の祭礼に、喧嘩をして人を傷けたことがあったし、柔道も初段になっていたような事から、両親のみならず仲人役の先生も兄の怒を恐れたのである。
その晩弟が帰って来たのは夜も十時過であった。両親と先生とが、おそるおそる兄弟に向って嫁の始末を相談した。